haruhi Lab 第3号です。

先週の第2号でお届けした業務テンプレ3本(議事録要約・支払催促メール・顧客質問への一次回答)を、今号では業界別にカスタマイズしてお届けします。税理士事務所と社労士事務所、それぞれの現場で使える形にしました。あわせて、今月のAnthropic公式情報から、事務所スタッフに効く話を一つ。

まず、今月のAnthropic公式から。

6月9日、Anthropicが新しいモデル「Claude Fable 5」を一般公開しました。同社がこれまで一般提供したなかで最も高性能なモデルで、知識業務と文書を扱う仕事で特に強いとされています。法律専門家による評価では、その文書作成が現行モデルと同等かそれ以上だったと報告されています。

事務所スタッフにとっての含意は、三つあります。

一つ目。一度に扱える文章量が大幅に増えました(約100万トークン)。長い議事録や分厚い顧問先資料を、分割せずにまとめて読ませて要約できます。

二つ目。文書の読み取りと分析の精度が上がりました。第2号で紹介したような下書きの質が、そのまま底上げされます。所長レビューに耐える粒度に、より近づきます。

三つ目。それでいて、利用料金はむしろ以前より下がっています。コスト面でも使いやすくなりました。

ただし、モデルが新しくなっても変わらないことが一つあります。税務・労務の最終判断は、必ず有資格者(所長・税理士・社労士)の確認を通すこと。AIは下書きを速く整えるための道具であって、判断を肩代わりするものではありません。ここは第2号と同じ姿勢です。

ここからは、第2号の3テンプレの業界別カスタマイズです。

業界別1:議事録要約(社労士事務所版)

社労士事務所の顧問先打合せは、36協定・就業規則・社会保険と、労務特有の用語と期限が飛び交います。第2号の3軸プロンプトに「労務用語(36協定・育児介護休業法・算定基礎届など)はそのまま保持」と一文足すだけで、抜け漏れが減ります。

実例(顧問先打合せの場合):
入力 = 36協定の更新時期・育児休業規程の整備・算定基礎届の依頼 等の議題
出力 =
(1)決定事項:36協定の更新手続きを進める。算定基礎届は当事務所で対応する。
(2)担当と期日:担当者=36協定更新案の作成・送付(6月中旬)、担当者=算定基礎届の提出(7月10日)
(3)継続検討:育児・介護休業法改正に対応した就業規則の改定。顧問先から現行規程の提供を受けてから着手。

業界別2:支払催促メール(業種別のトーン調整)

支払催促は、相手との関係性で温度を変えるのが勘所です。長年の顧問先には事務連絡のやわらかさで、新規の取引先には期限と金額を明確に。第2号のプロンプトの冒頭に「相手は(長年の顧問先/新規取引先)です」と一言添えるだけで、トーンが自動で寄ります。関係を壊さずに、確実に動いてもらうための調整です。

業界別3:顧客質問への一次回答(税理士版・社労士版)

第2号の一次回答プロンプトは、業界をまたいで使えます。大事なのは、どの業界でも「現時点の理解では」と前置きし、「最終回答は所長確認後」と明示すること。これだけで、自分で判断できているように見えつつ、言質を取られない下書きになります。

税理士版の実例:
質問 = 「消費税は簡易課税と本則課税、どちらが有利ですか」
出力 = 「現時点の理解では、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であれば簡易課税を選択でき、業種や経費構造によって有利不利が分かれます。御社の場合は仕入や設備投資の状況を踏まえた試算が必要です。最終的な判断は所長(税理士)の確認後にお返事いたします。」

社労士版の実例:
質問 = 「育児休業中の社会保険料はどうなりますか」
出力 = 「現時点の理解では、育児休業等の期間中は、事業主の申出により、健康保険・厚生年金保険の保険料が被保険者・事業主の双方とも免除される制度があります。対象となる期間や手続きには条件がありますので、個別の確認が必要です。最終的なご回答は所長(社労士)の確認後にお返しします。」

(上記の制度・要件・数値は一次回答の下書き例です。配信前に公式情報で必ず確認してください。)

3本に共通の使い方

業界別といっても、やることは同じです。第2号のプロンプトに「業界・相手・場面」を一言足すだけ。(1)場面を思い浮かべる →(2)プロンプトをコピペ →(3)出力を所長レビュー前に自分でチェック。所長から「書き直し」と言われる前に、自分で気づけるようになるための設計です。

来週木曜(6月18日)配信予告

来週は、6月の事務所カレンダー(年末調整の準備・住民税通知の処理・夏のボーナス計算)と、それぞれにAIをどう噛ませるかを、カレンダー連動の初回としてお届けします。

このメールが「先月の自分より少しだけ強くなった」と感じる材料になれば嬉しいです。お知り合いの事務所スタッフ・経理担当の方にも転送いただけると、haruhi Lab はもっと届きます。

haruhi(haruhi Lab 編集者)
lab.haruhi-lab.com

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